セブの地方都市が経済危機に強い理由とは。

今日はセブの地方都市の経済・物資の流通等がどのようなシステムで回っているかについてお話します。そしてそれが何故、経済危機に強いのか。

ちょっと難しい内容ですが、個人的に一番お気に入りの記事になりそうです。

f:id:Martin-S:20160110231058p:plain

 

まずこれには、セブの地方に住む人がどのようにして生計を建てているかを知る必要があります。

どこかの企業に属して、パーマネントまたはパートタイムな仕事を持っているフィリピン人は主に都市部に住む人たちで、地方に住む人々は自営業のような小さなビジネスで生計を建てているケースが多いです。(地方でも企業の従業員はいます。旦那さんが外で働いて・・のようなケースが多いです。)

 

小さなビジネスとはどんなものでしょうか。いくつか例を挙げます。

 

①サリサリストア(小売り店)

f:id:Martin-S:20160110221216p:plain

代表的な物がこちらのサリサリストア。スーパーマーケットで大量に物を仕入れて、少し値段を上乗せして1個単位で売ります。小さい単位で買い物出来る点や、スーパーマーケットが中心地にしか無い町では、けっこう需要があります。これについては現在、詳しく調査中なので、今度サリサリストア特集のような記事を書きたいと思います。

家の一室を店舗のように改装して、お母さんが子供を抱えながら片手間で仕事が出来てしまいます。また商品は自宅用としても使うので、商店と倉庫のような役割。一石二鳥ですね。

 

②家畜

f:id:Martin-S:20160110230126p:plain

日本の感覚で言うと、家畜を行っているのは、プロの家畜家のような人たちで巨大な土地で大量の豚や牛を育てているといったイメージでしょう。しかし、セブではごく普通な庶民も最小規模ながら家畜をします。

・学校の先生の体験談

雌の豚を一匹買ってくる。(子供を沢山産めるかどうかの判別をする。これがけっこう難しいらしい)そして、近所の家で飼っている雄豚と交尾させて子供を産ませます。子供を育ててある程度成長したら、町のマーケットや、近所の人たちに売りさばく。

彼らは、まったく家畜のプロというわけでもなく、パーマネントにこの仕事をやっているわけでもありません。いい豚が見つかった・ちょっと時間に余裕が出来た、みたいな時に気軽にこうしたビジネスを始めるのです。

そして上記で出てきた雄豚。こういったケースでは、交尾させてくれたお礼に子豚を一匹あげるそうです。そうして雄豚オーナーは沢山の雌豚と交尾させることで、子豚を譲ってもらい、結果的に食料を得ることが出来ます。これもひとつのビジネスですね。雄豚は雌よりもニオイがきついらしく、一般的には出来れば飼いたくないものだそうなので、こういったビジネスが成立します。

 

またこの先生は小さい頃に、ヤギを育てて出荷した事があるそうです。散歩して草を食べさせるだけなので、とても簡単と話していました。

 

チキンでも同じ事が言えます。

鶏をマーケットで買ってきて、卵を産ませて、マーケットや近所の人に売ります。チキンは小さいので卵を産ませて元を取った後、食べるのは自宅用でしょうか。

 

③魚の養殖

f:id:Martin-S:20160110230338p:plain

驚く事に、セブ人は魚の養殖も片手間でやってしまうようです。日本だと完全にプロの領域ですよね。セブでは、自宅近くに池を掘ってそこで魚を育てます。もちろんかなりの小規模。充分に育ったら、同じようにマーケットか近所の人に売りさばく。

 

④ケーキ屋さん

フィリピンでは、クリスマス等のイベントは盛大に行われます。そのためケーキがその時期になると売れるのですが、これも普通の人(ケーキを作るのが得意な人)が、需要のあるシーズンのみ作って、町のマーケット・近所の人に売っているのです。

 

ひとつひとつ見ると、セブの人ってなんでも出来て凄い!と思いますが、ここで日本と比較することである事に気づきました。これは都市経済・流通の観点で見ると非常に面白いです。

というのも、セブは小さな規模で経済・流通が完結しているのです。

まずは日本を例に考えましょう。お米は新潟県・お茶は静岡県・みかんは愛媛県・林檎は青森県・・・などなど。実際には、その県だけではないですが、日本の中にその製品に特化した大規模な生産場所があり、そこから日本全土へ流通していくというのが通例です。さらに言うと食料は輸入品にもかなり頼っていますよね。(詳しい数字はここでは省略)ようは、日本全体がひとつの運命共同体のようなものです。超極端な話、愛媛県で何か大災害があったら日本の人達はみかんが食べられなくなります(入手しづらくなります)。

日本の経済・流通はひとつの円で覆われているのをイメージしてください。

 

一方セブでは、この円がひとつの街単位であり、サイズが圧倒的に小さいのです。セブ島内に小さな円が沢山あるのをイメージしてください。実際、日本の方が色んな物を食べれて便利な生活です。しかし、こういったケースは外部の影響をダイレクトに受けてしまいます。上の愛媛県の例や、例えば、キャベツの輸送にトラックを使っていた場合。ガソリン代高騰は、輸送費高騰、最終的にはキャベツの値段にまで影響します。外国から輸入している食べ物なら燃料費に加えて、円のレートとかも影響するでしょう。便利なのですが、非常に脆いと感じます。

日本と比較してセブでは、小さな範囲で完結しているので、外部の影響を受けにくいといえるでしょう。何か世界的な経済危機、石油問題だとか、そういった時代に一番強いのは、このような小さな経済ではないでしょうか。

 

発展途上国ほど、こういった小さな経済が残っている場所が多い気がします。研究室の先生が、「小さな町が元気な国は良いね」と話していたのを思い出しました。その意味がやっと、しっかりわかった気がします。

そして、こういった元気な町を是非残していきたいですね。

フィリピンが我々先進国と同じような道を辿って欲しくないと感じます。

 

 

↓当ブログを応援してくださる方はクリックをお願いします!


フィリピン留学 ブログランキングへ

にほんブログ村 海外生活ブログ セブ島情報へ
にほんブログ村