フィリピンのナショナルハウス【Nipa Hut】

フィリピン国指定のナショナルハウス【Nipa Hut】について。

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まず、ナショナルハウスとは何か。日本人にはあまり馴染みのない言葉だと思います。僕もこれで初めて聞きました。一言で言うと国が、「この家が我が国の代表的な家だよ」と指定しているようなものです。フィリピンには家以外にも、ナショナルフルーツのマンゴー、ナショナルフードのレチョンなど様々なナショナル〜が存在します。

そして、そのナショナルハウスが「Nipa Hut」なわけです。日本にはこれがナショナルハウスだ!という概念が無いのでこれは非常に面白いなと思いました。

 

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まず、素材は主に木材・竹・ニパ等のフィリピンで手に入るローカルで軽い素材から作られています。柱梁等の耐久性が必要な部分は木材で、それ以外を竹で、屋根はニパと呼ばれるヤシ科の植物の葉で葺いてあります。ニパは日本では沖縄県に存在するようです。熱帯、亜熱帯の植物ですね。

 

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家の特徴は少し地面から浮いているところです。これは東南アジアのローカル建築では典型的なもので、雨期のスコールを凌ぐことと、風を通して涼しくするためです。熱帯の建築なので、窓を大きくしたりとにかく外気を取り入れる工夫がなされています。また屋根を高くして暖かい空気を溜め込むという側面もあるようです。熱帯といっても場所や季節によって夜冷え込む場合があります。冷える時期は窓等を閉じて、風が入らないようにして暖かさを保つのです。完全に外気と遮断は出来ないと思うので、どれほど効果があるのか気になるところですが。あとは、屋根、柱はあるけど壁の無い半屋外の空間があるのがフィリピン建築の特徴だと思っています。ここで家族が仲良く雑談している姿をよく見かけます。家族を非常に大事にするフィリピンならではの場所ではないでしょうか。

 

しかし、こういった伝統的な家も現在では減りつつあります。都心部ではほとんどがセメント造の建物ですし、下半分コンクリートで上半分Nipa Hutという半NipaHutも増えてきています。これは台風や地震等の災害が理由なので、仕方ないといえば仕方ないのですが。コスト的にはセメントの方がはるかに高いのですが、人々はセメント造の家を好みます。しかし、どちらが快適か?と聞くとNipa Hutと答える人が多いです。

僕は都市建築が好きではありません。どこに行っても同じ形をした建物が建っていて面白くないからです。僕は建築学科卒業ですが近代建築家にはまったく向いていません。Nipa Hutのようなその土地の素材とその土地の知恵によって生み出された、その土地に最もマッチしたユニークな建築に興味を惹かれるのです。自分たちの手で作っているのでこうした建築に建築家は存在しません。

 

現在日本では町工房など、その土地の素材で作った商品に注目が集まっていますし、そういう物作りをしてみたいという若者が増えてきたように感じます。神奈川県小田原で木材のスタディーツアーに参加した際に、「小田原の家は小田原の木で作るのが一番」と話していたのを思い出しました。

災害の事を考えると安易な事は言えませんが、そういったリスクを抑えつつ、こちらから自然に歩みよれる建築があればそれが一番良いと思います。

 

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